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「ヴィサラ/牧神の午後/チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ/カルメン」 

2016年1月23日(土)~1月29日(金)まで公開 <1週間限定公開> Review!

いち早く見ていただいた方の感想をご紹介します。

〈全体の感想〉

 

  カルロス・アコスタのロイヤルバレエ退団公演『カルメン』を筆頭に、サラ・ラムの『牧神の午後』、ヤーナ・サレンコ&スティーブン・マックレーの『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』等、スターダンサー達を一度に鑑賞できる、何とも豪華なプログラム。更に日本が誇るダンサー平野良一&マリアネラ・ヌ二ェスのパ・ド・ドゥが見れる『ヴィサラ』も!バレエ・ファンには堪らない豪華キャスティング、そして日本ではなかなか見られない貴重な演目にバレエファンの素人から玄人まで楽しめる内容。実際の舞台では、余程の良い席でしかチェックできない足さばきや筋肉の使い方、ダンサーの表情も手に取るよう分かって胸が熱くなりました。

 

 

 

〈『ヴィサラ』の感想〉

 

  この演目は初めて鑑賞しました。舞台装飾は極めて簡素で、ダンサー達もレオタードのみのシンプルな衣装。レオタードのみの衣装だと、スタイルの良いダンサーばかりのバレエ団でもやはり全てをさらけ出す。その中でも際立つのはロイヤルのプリンシパルであり、ベテランダンサーである、ラウラ・モレーラの力強い踊り。鍛え上げられた美しい筋肉の動きが手に取るよう分かり、ただただ感嘆。そして私が感動したのはスターダンサーであるマリアネラ・ヌ二ェスと平野良一のパ・ド・ドゥ。

  個人的にマリアネラのファンなので、日本人がペアを組んでいるのを観て感動してしまった。今後ももっと活躍して欲しいですね!あと崔 由姫もキャスティングされており、そのスタイルの良さは光るものがありました。ラインがとても美しい。彼女の活躍も観れて嬉しかった。

 

 

 

〈『牧神の午後』の感想〉

 

  ニジンスキー版の『牧神の午後』しか鑑賞したことがなかった私。今回鑑賞したジェローム・ロビンス版はニジンスキー版に比べると非常に分かりやすい設定。スタジオで出会う若い男女に生まれるほのかな恋心をさわやかに初々しく、サラ・ラムとワディム・ムンタギロフが表現している。サラ・ラムを見ると、バレエの為に生まれてきたと思わせるまさに妖精のようなビジュアルに毎回惚れ惚れしてしまう。まさに妖精サラにぴったりな役だと思った。先にスタジオで練習していたワディムも一瞬でサラに気を取られて引き寄せられる姿が印象的。彼もいわゆる王子顔、王子体形でサラの相手役にぴったり。キレイで美しい“王道バレエ”イメージを体現するふたり…。彼らが表現する淡い恋に「美しいものを観た」と心が洗われました。

 

 

 

〈『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』の感想〉

 

 この演目はパ・ド・ドゥやヴァリエーションの練習曲としても人気の曲なので、私も何度もスタジオや発表会で鑑賞していてとても馴染みのある演目。でも踊るのはヤーナ・サレンコ&スティーブン・マックレー。今世界で最も活躍しているダンサーに数えられる彼らが踊るとなると、お手本どころかもう伝説級でした。ヤーナのポワントワークにスティーブンの跳躍など超絶技の連続で息を飲むばかり。ヤーナとスティーブンは身長差もぴったりで髪の色まで同じ。兄妹かと思うくらい容姿も似ていて相性抜群。特にコーダの時のダイヴからラストまでの流れは圧巻!圧倒されて涙が出ました。

 

 

 

〈『カルメン』の感想〉

 

 カルロス・アコスタはこの公演をもって、クラシックバレエからは引退するという。そんな彼の記念すべき『カルメン』は振付も彼自身が行ったとのこと、意欲的で斬新な振付や演出がてんこもり。元々『カルメン』は王道クラシックの演目ではないが、キューバ出身の彼らしい“ラテン”雰囲気あふれる演出が目立ったように思う。振付もサルサやフラメンコ等が散りばめられていた。カルメン役のマリアネラ・ヌ二ェスもアルゼンチン出身なので、“ラテン”な雰囲気にぴったり。そんなラテンコンビが踊る、檻と鎖を使ったダンスはセクシーで情熱的で素晴らしく、カルメンとドン・ホセの危ういな恋を象徴しているよう。その他、居酒屋での椅子を使った群舞もサルサな雰囲気あふれる斬新な演出で若手ダンサー達のエネルギーが熱く伝わってくるようだった。

 さらに特筆すべきはオペラとも融合していたこと。オペラ歌手が舞台に登場し、楽曲を歌うというサプライズも。バレエを観に来たはずがオペラまで聞けてしまったという、お得な気分に。

そんなカルロスの引退公演、最後には日本人も嬉しい吉田都さんへのメッセージもあり、涙腺がゆるむ。そして若手ダンサーへのメッセージは何かに打ち込んでいる人には心に響く普遍的な言葉で、気がつくと涙腺が崩壊していたのでした。カルロスさん、お疲れ様でした!コンテンポラリーはまた舞台で会えるとの事、ぜひ日本にも来てもらいたいですね!

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